シンプル解説①宅建業の廃業届から営業保証金の取戻しまでの流れ(愛知県知事免許)

宅建業をはじめる際に法務局への営業保証金の供託を選択した業者が宅建業を廃業する場合、営業保証金を返金してもらわなければなりません。

これを営業保証金の取戻しと言うのですが、廃業と同時に自動的に返金が行われるわけではなく、業者自身が手続きをして返金してもらう必要があります。

営業保証金は少なくとも1,000万円となりますし、廃業後はできるだけ速やかに手元に戻したと考えるのが当然かと思います。

そこでここでは、愛知県知事免許の廃業届から営業保証金の取戻しまでの流れをシンプルに解説していきたいと思います。

まずは大まかな流れを確認しよう!

  1. 1.廃業等届出書の提出
  2. 2.官報へ廃業の広告を掲載
  3. 3.営業保証金取戻し公告届の提出
  4. 4.債権の申出のない証明願の提出
  5. 5.供託金の取戻し

それぞれ確認していきましょう。

1.廃業等届出書の提出

宅建業者が廃業することになった場合、まずは廃業すること届け出るため、廃業等届出書を役所窓口に提出することになります。

届出書の様式は、愛知県のホームページから様式をダウンロードして印刷することができるほか、直接窓口で入手することもできます。

様式が入手できたら書類に必要事項を記入していくことになるのですが、インターネットでは記入例を見ることができますので、参考にしながら記入するとよいでしょう。(「愛知県 宅建業 廃業届出」などの関連するキーワードで検索してみてください。)

書類は正副2部準備しましょう。このとき副本はコピーでもOKです。

廃業理由によって添付書類が変わる!?

廃業の届出では添付書類も必要になります。

ここでは詳しい説明は省きますが、廃業の理由によって添付書類が変わりますので、あらかじめインターネットで調べたり窓口に問い合わせるなどして間違えないように気を付けて下さい。

廃業等届出書を提出した時点で宅建業免許は効を失うことに注意!

宅建業免許は廃業の届出をした時点でその効力を失います。したがって、届出後に営業行為や宣伝行為をすると無免許営業となってしまう恐れがありますので十分に注意してください。

2.官報へ廃業の公告を掲載

次に、官報に宅建業を廃業する旨の公告をする必要があります。

官報とは、国の機関紙ことこで、この官報に廃業する旨の記事を掲載し、廃業する宅建業者に対して損害賠償請求権などの債権を有する者がいる場合は申し出るように世間に広く知らせる手続きとなります。

なお、官報への掲載は役所窓口で行うことはできません。別途、宅建業者が愛知県第一官報販売所に対して官報への掲載を申し込む必要があります。

官報への掲載は宅建業法のルール!

「官報を読んでいる人がどれだけいるのか?」「債権者がいたとしても気付くことができるのか?」という疑問が当然にあると思うのですが、これは宅建業法に定められているルールとなりますので、拒否や省略することはできません。

宅建業法30条2項(抜粋)

営業保証金の取りもどしは、当該営業保証金につき権利を有する者に対し、6月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかった場合でなければ、これをすることができない。

3.営業保証金取戻し公告届の提出

官報に廃業の広告が掲載された後、官報に掲載された旨を役所窓口に知らせるため、営業保証金取戻し公告届を提出します。

この公告届は正本1部だけでOKです。

4.債権の申出のない証明願の提出

官報への公告は掲載されたら終わりではありません。債権者の申し出る期間として6か月経過する必要があります。

この6か月を経過した後に債権者が誰も申し出なかった場合、その旨を愛知県から証明してもらうため、窓口に債権の申出のない証明願という書類を役所窓口へ提出します。

これは正副2部(副本はコピーでOK)必要となります。

5.供託金の取戻し

債権の申出のない証明書が交付されたら、法務局へ供託してあった営業保証金の取戻しの申請をします。

ここで全ての手続きが完了となります。

まとめ

いかがでしょうか?廃業から供託金の取戻しまでの流れがイメージできたでしょうか?

廃業から6か月もかかるということに驚いたという方もいらっしゃるかもしれません。また、一連の手続きの一番最初の段階で宅建業免許の効力がなくなることになりますので、廃業するタイミングもよく考えていただく必要があると思います。

なお、保証協会へ入会されている方は、公告などの手続きが無いなど供託の場合とは別の流れになります。また機会がありましたら記事にアップしたいと考えています。

参考にしてみてください。