
宅建業者は、取引の相手方(売主、貸主を除く)に対して、事前に一定の重要な事項について宅建士に説明させなければならないことになっています。
これを重要事項説明といいますが、この重要事項説明の内容には、宅建業法に定められた必ず説明しなければならない法定の説明事項があります。
宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
ここでは、法定の説明事項のうちの「浴室、便所等建物の設備の整備の状況」について詳しく解説していきます。
このページでは、宅建業者の重要事項説明のうち、特に宅建業法に明示されている16の項目(法定重説事項)をリストアップしています。 個別の項目に関する詳細については、順次、個別に解説記事をアップしていく予定です。 法定重説事 …
浴室、便所等建物の設備の整備の状況(建物の貸借の場合)
浴室、便所等建物の設備の整備の状況については、正式には宅業業法において次のように記されています。
その他宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護の必要性及び契約内容の別を勘案して、次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める命令で定める事項
(イ) 事業を営む場合以外の場合において宅地又は建物を買い、又は借りようとする個人である宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に資する事項を定める場合
(ロ) イに規定する事項以外の事項を定める場合
台所、浴室、便所その他の当該建物の設備の整備の状況
建物の貸借の場合においては、浴室、便所、台所等建物の設備の有無、形態、使用の可否など日常生活に通常使用する設備の整備状況が説明事項となっています。
例えば、ユニットバス等の形態、エアコンの使用の可否がこれに該当します。
なお、事業用の建物(オフィス・店舗など)にあっては、空調設備等事業用の建物に固有の事項のうち、事業の業種、取引の事情等を勘案して重要なものについて説明すべきとされています。
なぜ建物の貸借の場合のみの説明事項となっているのか?
浴室、便所等建物の設備の整備の状況は建物の貸借の場合のみの説明事項となっており、売買時の説明事項とはなっていません。
これは、建物の賃借人が基本的には建物の設備を増築または改築する立場にないため、十分な説明のないまま入居後にトラブルとなる事例が多くみられていたからです。