
すでにこのサイトでは解説をしているのですが、宅建業者が媒介契約(または代理契約)を締結する場合、契約内容に関する一定の事項を記載した書面を作成して、依頼人に交付しなければなりません。
この書面に記載すべき事項の中に、国土交通省が定めている、「標準媒介契約約款に基づいたものかどうかの別」というのがあります。
具体的には次のような文言を契書面の右上隅に表示します。
- この媒介契約は、国土交通省が定めた芳醇媒介契約約款に基づく契約です。
- この媒介契約は、国土交通省が定めた芳醇媒介契約約款に基づく契約ではありません。
このとき、「標準媒介契約約款に基づく契約」とは、国交省が定めたものをそのまま使用したものだけではなく、特定の内容であれば変更・追加が認められます。
そこで今回は、「標準媒介契約約款に基づく契約」のうち、変更または追加が可能な内容について解説していきたいと思います。
代理が民法に定められているのに対し、媒介は民法に定められておらず、宅建業法においてその規制が行われています。 媒介は宅建業界において最も多く採用されている取引形態であるため、もしあなたが宅建業者であるならば、必ず理解して …
「標準媒介契約約款に基づく契約」において変更・追加が認められる事項
「標準媒介契約約款に基づく契約」において変更・追加が認められる事項は次のとおりです。
- 宅建業者が契約の相手方を探索するために行う具体的措置(レインズへの情報登録、広告等)に関する条項の追加
- 宅建業者の業務処理状況の依頼者への報告、連絡等に関する条項の追加
- 契約が成立した場合に宅建業者が行うレインズへの報告に関する条項の追加
- 媒介契約に基づき行う媒介業務の具体的内容に関する条項の追加
- 売買等の契約当事者の一方からのみ媒介の委託を受けることを依頼人に約した旨の条項の追加
- 契約書の別表(物件の表示)の軽易な変更
もちろん、これらの事項以外の部分を変更・追加することは問題はありませんが、その場合は「標準媒介契約約款に基づく契約」ではなくなるということです。
なお、1~5の場合において追加した部分は、アンダーラインで明示することになっていますのでご注意ください。
依頼者の不利にならない特約はOK!
標準媒介契約約款をそのまま使用した場合または上記の事項を変更・追加した場合は、「標準媒介契約約款に基づく契約」と表示することになるわけですが、特約の欄に依頼人に不利とならない特約をすることは差し支えないとされています。
まとめ
宅建業者が媒介契約(または代理契約)を締結する際に交付する書面には、国土交通省が定めた標準媒介契約約款に基づくものか否かを記載する必要があります。
このうち、「標準媒介契約約款に基づく契約」とは、
・契約約款をそのまま使用した契約
・上記の事項を追加・変更を行い、他の事項はそのまま使用した契約
この2つのことで、依頼人の不利とならない特約は追加してもOKです。
ぜひ参考にしてみてください。