重要事項説明の内容|石綿使用調査の内容(建物の売買・交換・賃借の場合)

宅建業者は、取引の相手方(売主、貸主を除く)に対して、事前に一定の重要な事項について宅建士に説明させなければならないことになっています。

これを重要事項説明といいますが、この重要事項説明の内容には、宅建業法に定められた必ず説明しなければならない法定の説明事項があります。

宅建業法35条1項(抜粋)

宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。

ここでは、法定の説明事項のうちの「石綿使用調査の内容」について詳しく解説していきます。

石綿使用調査の内容

石綿使用調査の内容については、正式には宅業業法において次のように記されています。

宅建業法35条1項14号(抜粋)

その他宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護の必要性及び契約内容の別を勘案して、次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める命令で定める事項
(イ) 事業を営む場合以外の場合において宅地又は建物を買い、又は借りようとする個人である宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に資する事項を定める場合
(ロ) イに規定する事項以外の事項を定める場合

宅建業法施行規則16条の4の3 4号

当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その内容

石綿(アスベスト)の問題を受けて、建物について石綿の使用の調査の結果が記録されているときは、その内容を説明する必要があります。

石綿の使用の有無の調査結果の記録が保存されているときは、「その内容」として次の内容を説明することになっています。

石綿に関する説明事項
  • 調査の実施機関uo
  • 調査の範囲
  • 調査年月日
  • 石綿の使用の有無
  • 石綿の使用の箇所

調査結果が分からない場合はどうなる?

調査結果の記録から、これらの説明事項が判明しない場合には、売主等に補足情報の告知を求め、それでもなお判明しないときはその旨を説明すれば足りるとされています。

調査結果が明確な場合

反対に、調査結果の記録から容易に石綿の使用の有無が確認できる場合には、その調査結果の記録を別添することも差し支えないとされています。

調査結果が存在するかどうか分からない場合

石綿に関する説明義務は、売主および所有者に調査の記録の有無を照会し、必要に応じて管理組合、管理業者および施工会社にも問い合わせたうえ存在しないことが確認された場合、またはその存在が判明しない場合は、その照会をもって調査義務を果たしたことになるとされています。

石綿に関する調査自体は義務ではないことに注意!

石綿に関する説明義務は、あくまで調査結果についての説明であって調査自体が義務というわけでありませんので、この点は誤解のないようにしてください。

また、紛争防止の観点から、売主から提出された調査結果の記録を説明する場合は、売主等の責任のもとに行われた調査であること、そして建物全体を調査したものではない場合は、調査した範囲に限定があることをそれぞれ明らかにする必要があります。