標準一般媒介契約約款の内容

一般媒介契約とは、複数の宅建業者と媒介(または代理)契約をすることができ、かつ依頼人自身が契約相手を見つけることも許されるというタイプの契約です。

今回は、一般媒介契約をする際に使用すべきとされている標準一般媒介契約約款の内容についてご紹介します。

標準一般媒介契約約款の内容

標準一般媒介契約約款の内容は次のとおりです。

標準一般媒介契約約款に表示されている事項
  1. 媒介契約形式の選択 
  2. 他にかさねて依頼する業者の明示
  3. 意見の根拠の明示 
  4. 契約の有効期間
  5. 履行費用の償還
  6. 通知義務
  7. 業者の報酬請求権 
  8. 契約の解除 
  9. 特約 

標準専属専任媒介契約約款と同じです。

それぞれみていきましょう。

1.媒介契約形式の選択

標準専属専任媒介契約約款と同じです。

契約書の冒頭に枠囲いで本契約が専属専任媒介契約であることを表示するとともに、専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般毛媒介契約の3つの媒介契約のタイプについて、それぞれの特徴を説明しており、依頼人自身がこれらの契約タイプのうち適当なものを自由に選択できるようになっています。

2.他にかさねて依頼する業者の明示

一般媒介契約約款では、明示の一般媒介契約を原則としています。

このため、依頼人は媒介契約締結時にすでにかさねて依頼している他の業者を一般媒介契約書に記載し、媒介契約締結の後にさらに他の業者にかさねて依頼することになった場合には、その旨をすでに依頼している業者に通知しなければならないこととされています。

3.意見の根拠の明示

標準専属専任媒介契約約款と同じです。

業者が媒介価格の決定に際して意見を述べるときは、根拠を示して説明しなければなりません。これは、法律上の義務を規定しているものです。

4.契約の有効期間

一般媒介契約では、契約の有効期間は法律上の規定はありませんが、実情にかんがみて専任媒介契約と同じ3か月以内とされています。

5.履行費用の償還

依頼人「2.他にかさねて依頼する業者の明示」の明示義務に違反して、明示していない他の業者を通して成約に至ったときには、依頼を受けた業者が一般媒介契約の履行のために要した費用を支払わなければなりません。

これは、明示義務を担保するための措置です。

6.通知義務

依頼人が自ら発見した相手方と取引したり、他の業者を通じて取引したときには、遅滞なくその旨を通知することとされています。

これは、宅建業者が他で成約したことをしらずに、無駄な努力を重ねることを防止するために設けられているものです。

また依頼人が、この通知義務に違反して売買等の契約を締結したときには、その売買等の契約の成立後、依頼を受けた業者が善意で依頼人のために支出した一般媒介契約の事務の処理に要した費用を支払わなければならないこととされています。

7.業者の報酬請求権

標準専属専任媒介契約約款と同じです。

宅建業者はその媒介によって制約に至った場合のみに報酬を請求できることとされています。これは、従来からの慣行とされてきた成功報酬主義を明文化したものです。

ただし、業者が報酬を請求するためには、契約が有効に成立していることが必要であり、停止条件付で成立したような場合には、その停止条件が成就するまでは報酬の請求ができないことになります。

また、宅建業法では事後的な紛争を避けるため、宅建業者が当事者としてまたは媒介により行う契約について、契約内容を記載した書面を契約成立後遅滞なく業者が相手方に交付することが義務付けられています。

宅建業法37条1項

宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。

報酬受領の時期は、この書面の交付の後であればよいので、例えば、書面交付直後に報酬の半分、契約の履行終了後にさらに半分受領するように特約をするのは問題ありません。

最後に、宅建業者は依頼人から特別に依頼を受けた広告の料金や遠隔地への出張旅費については、約定報酬とは別に依頼人に対して実費の支払いを請求することができることとされています。

業者はこのような特別な依頼を受けたときは、あらかじめ依頼人に対して請求する費用の見積りを説明してから実行するとともに費用の請求を行うときには、明細を示して行う必要があります。

停止条件とは?

停止条件とは、将来発生することが不確実な事実を契約等の効力の発生要件とする場合の不確定な事実をいいます。

例えば、「宅建試験に合格したら給料を2倍にする。」という約束をした場合、「宅建試験の合格」が停止条件となります。

8.契約解除

標準専属専任媒介契約約款と同じです。

契約の解除については、互いの債務不履行を理由とする催告を要する解除のほかに、業者側に依頼人の信頼を失わせるような不正不当行為があった場合等に、依頼人側から催告することなしに媒介契約を解除することが認められています。

これは、媒介契約が当事者間の信頼関係によって成立するもであるため、宅建業者に配信的行為があった場合は、その行為の相手方が依頼人でなくても解除が認められています。

9.特約

標準専属専任媒介契約約款と同じです。

標準一般媒介契約約款の所定の事項に他にも、当事者の合意によって特約をすることができます。また、約款の各条項に定められていることについても特約をることができますが、依頼人に不利な特約は無効となります。

なお、一定の期間内に目的物件が売却できなかったときは、宅建業者が媒介価格を下回る価格で買い取る旨の特約は、売主が宅建業者に安く売ることを義務づけず、売主の希望であれば宅建業者が買い取るべきことを定めたのみであれば差し支えないとされています。

標準一般媒介契約約款の様式

標準一般媒介契約約款の様式はこちらからご確認ください。