重要事項説明の内容|耐震診断の内容(建物の売買・交換・賃借の場合)

宅建業者は、取引の相手方(売主、貸主を除く)に対して、事前に一定の重要な事項について宅建士に説明させなければならないことになっています。

これを重要事項説明といいますが、この重要事項説明の内容には、宅建業法に定められた必ず説明しなければならない法定の説明事項があります。

宅建業法35条1項(抜粋)

宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。

ここでは、法定の説明事項のうちの「耐震診断の内容」について詳しく解説していきます。

耐震診断の内容

耐震診断の内容については、正式には宅業業法において次のように記されています。

宅建業法35条1項14号(抜粋)

その他宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護の必要性及び契約内容の別を勘案して、次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める命令で定める事項
(イ) 事業を営む場合以外の場合において宅地又は建物を買い、又は借りようとする個人である宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に資する事項を定める場合
(ロ) イに規定する事項以外の事項を定める場合

宅建業法施行規則16条の4の3 5号(抜粋)

当該建物が建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づいて行う耐震診断を受けたものであるときは、その内容

この耐震診断に関する説明事項は、平成17年の耐震改修促進法の改正や構造計算書偽装問題を受け、新たに追加された説明事項です。

昭和56年5月31日以前に新築の工事に着工した建物が対象!

重要説明事項として耐震診断に説明が必要となるのは、昭和56年5月31日以前に新築の工事に着工した建物が対象となっており、すべての建物というわけではないことに注意が必要です。

ちなみに、昭和56年は建築基準法が改正され、いわゆる旧耐震基準から新耐震基準に変更された年です。昭和56年5月31日は、旧耐震基準が適用される最終日ということです。

耐震診断を行う者

重要事項説明として説明が必要な耐震診断は、誰が行ってもよいというわけではなく、次の4者のいずれかとなっています。

耐震診断を行う者
  1. 指定確認審査機関
  2. 建築士
  3. 登録住宅性能評価機関
  4. 地方公共団体

説明にあたって添付できる書類

耐震診断の説明をするにあたって、別添することができる書類は次のとおりです。

添付できる書類
  1. 住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品確法)に規定する住宅性能評価書の写し(構造躯体の倒壊等防止に係る評価を受けたものに限る)
  2. 耐震基準適合書の写し
  3. 住宅耐震改修証明書の写し
  4. 固定資産税減額証明書の写し
  5. 耐震改修に関して発行された増改築等工事証明書の写し
  6. 耐震診断結果評価書の写し(指定確認検査機関、建築士、登録住宅性能評価機関、地方公共団体が作成したもの)

建築年月日の判断方法

昭和56年5月31日以前に新築の工事に着工した建物であるかどうかの判断は、確認済証または検査済証に記載されている確認済証交付年月日の日付をもとに判断することとされています。

確認済証・検査済証がない場合はどうなる?

確認済証または検査済証がない場合は、建物の表題登記をもとに判断することとされています。

このとき、居住用の建物(区分所有建物を除く)と事業用および区分所有建物によって基準となる年月日が異なりますので注意が必要です。

建物の用途 説明が必要となる基準
居住用(区分所有建物を除く) 昭和56年12月31日以前
事業および区分所有建物 昭和58年5月31日以前

なお、家屋課税台帳に建築年月日の記載がある場合についても同様に扱われます。

耐震診断の記録の有無が分からない場合はどうなる?

耐震診断に関する説明義務は、売主および所有者に調査の記録の有無を照会し、必要に応じて管理組合、管理業者および施工会社にも問い合わせたうえ存在しないことが確認された場合、またはその存在が判明しない場合は、その照会をもって調査義務を果たしたことになるとされています。

耐震診断に関する診断自体は義務ではないことに注意!

耐震診断に関する説明義務はあくまで診断結果についての説明であって、診断の実施自体が宅建業者の義務というわけでありませんので、この点は誤解のないようにしてください。