重要事項説明の内容|水防法に基づく水害ハザードマップにおけるその宅地建物の所在地

宅建業者は、取引の相手方(売主、貸主を除く)に対して、事前に一定の重要な事項について宅建士に説明させなければならないことになっています。

これを重要事項説明といいますが、この重要事項説明の内容には、宅建業法に定められた必ず説明しなければならない法定の説明事項があります。

宅建業法35条1項(抜粋)

宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。

ここでは、法定の説明事項のうちの「水防法に基づく水害ハザードマップにおけるその宅地建物の所在地」について詳しく解説していきます。

水防法に基づく水害ハザードマップにおけるその宅地建物の所在地

水防法に基づく水害ハザードマップにおけるその宅地建物の所在地については、正式には宅業業法において次のように記されています。

宅建業法35条1項14号(抜粋)

その他宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護の必要性及び契約内容の別を勘案して、次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める命令で定める事項
(イ) 事業を営む場合以外の場合において宅地又は建物を買い、又は借りようとする個人である宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に資する事項を定める場合
(ロ) イに規定する事項以外の事項を定める場合

宅建業法施行規則16条の4の3 3の2号(抜粋)

水防法施行規則の規定により当該宅地又は建物が所在する市町村の長が提供する図面に当該宅地又は建物の位置が表示されているときは、当該図面における当該宅地又は建物の所在地

これは、令和2年8月28日の宅建業法施行規則の改正によって新たに追加された説明事項です。

近年、大規模な水害の頻発するようになり、不動産取引時においても、水害リスクに関する情報が契約締結の意思決定を行う上で重要な要素となっています。

そこで、宅地建物取引業者が不動産取引時にハザードマップを提示し、取引の対象となる物件の位置等について情報提供するよう重要事項説明の対象項目として追加され、不動産取引時にハザードマップにおける取引対象物件の所在地について説明することが義務付けされました。

説明方法

国土交通省が公開しているガイドライン「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」において、具体的は説明方法として次の4点が挙げられています。

具体的な説明方法
  • 水防法に基づき作成された水害(洪水・雨水出水・高潮)ハザードマップを提示し、対象物件の概ねの位置を示すこと。
  • 市町村が配布する印刷物又は市町村のホームページに掲載されているものを印刷したものであって、入手可能な最新のものを使うこと。
  • ハザードマップ上に記載された避難所について、併せてその位置を示すことが望ましいこと。
  • 対象物件が浸水想定区域に該当しないことをもって、水害リスクがないと相手方が誤認することのないよう配慮すること。

すべての取引において説明が必要!

その宅地建物が津波災害警戒区域内か否かについての説明は、売買・交換・賃借の場合(つまりすべての場合)に必要となる説明事項です。