宅建業者が媒介契約で必要となる指定流通機構(レインズ)への物件登録

指定流通機構(レインズ)とは、宅建業法に基づき国土交通省が指定された不動産流通機構によって運営されている不動産流通のためのシステムです。

レインズは、全国に4つの法人(東日本、中部圏、 近畿圏、西日本)が設立されており、それぞれの法人が担当する地域において次のような業務を行っています。

レインズの業務内容
  • 不動産情報の交換
  • 成約情報の集約
  • 取引情報の提供

宅建業法では、宅建業者が専属専任媒介契約または専任媒介契約を締結した場合は、物件情報をレインズに登録しなければならないとする規定があります。

そこで今回は、指定流通機構(レインズ)への物件登録について深堀りしていきたいと思います。

指定流通機構(レインズ)への登録義務

前述のとおり、宅建業者が専属専任媒介契約または専任媒介契約を締結した場合、依頼人の保護ならびに宅地建物の流通の円滑化のためにレインズへ登録し、契約の相手方を探索しなければなりません。

宅建業法34条の2 5項(抜粋)

宅地建物取引業者は、専任媒介契約を締結したときは、契約の相手方を探索するため、国土交通省令で定める期間内に、当該専任媒介契約の目的物である宅地又は建物につき、所在、規模、形質、売買すべき価額その他国土交通省令で定める事項を、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣が指定する者(以下「指定流通機構」という。)に登録しなければならない。

なお、一般媒介契約の場合はレインズへの登録は義務ではありません。

登録までの期間の違い(専属専任媒介契約・専任媒介契約)

専属専任媒介契約の場合、契約の締結の日から5日以内に登録しなければなりません。一方、専任媒介契約の場合は、契約締結の日から7日以内の登録が必要です。

この5日(7日)以内には契約締結日の当日および業者の休日は含まれないので誤解のないようにしてください。

宅建業法施行規則18条の10 1項

国土交通省令で定める期間は、専任媒介契約の締結の日から7日(専属専任媒介契約にあっては、5日)とする。

宅建業法施行規則18条の10 2項(抜粋)

期間の計算については、休業日数は算入しないものとする。

初日不算入の原則

「初日不算入の原則」とは、期間を日、週、月、または年単位で定める場合に、期間の最初の日をカウントに含めないという法律上の原則のことです。

民法140条

日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。 ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

指定流通機構(レインズ)への登録内容

登録する義務と期間については理解していただけたと思いますので、次にどのような内容を登録するのかを確認していきましょう。

レインズへ登録する事項
  • 所在
  • 規模
  • 形質
  • 売買すべき価額
  • 都市計画法その他の法令に基づく制限で主要なもの
  • 宅地または建物の交換の契約に係るものである場合にあっては、当該宅地又は建物の評価額
  • 専属専任媒介契約である場合にあっては、その旨

登録後の依頼人への通知

宅建業者は、専属専任媒介契約および専任媒介契約において、レインズへ物件を登録した場合はレインズから発行される登録を証する書面を遅滞なく依頼人に交付しなければなりません。

宅建業法34条の2 6項(抜粋)

登録をした宅地建物取引業者は、登録を証する書面を遅滞なく依頼者に引き渡さなければならない。

成約後はレインズへ通知

宅建業者は、登録した物件が成約に至ったときは、遅滞なくその旨をレインズへ通知することが義務付けられています。

宅建業法34条の2 7項(抜粋)

宅地建物取引業者は、登録に係る宅地又は建物の売買又は交換の契約が成立したときは、遅滞なく、その旨を当該登録に係る指定流通機構に通知しなければならない。

指定流通機構(レインズ)は宅建業者専用!?

レインズは登録している宅建業者のみ利用することができるシステムで、一般の方は利用することはできません。

ただし、登録物件の売主だけは、宅建業者から登録証明書をもらうことで限定的な閲覧が可能となります。

まとめ

・専属専任・専任媒介契約(売買および交換)の場合は、レインズへの登録は義務。
・専属専任媒介契約は契約締結に日から5日以内(契約締結日および休業日は除く)に登録が必要。
・専任媒介契約は契約締結の日から7日以内(契約締結日および休業日は除く)に登録が必要。
・登録後は遅滞なくレインズから発行される書面を依頼人へ渡さなければならない。
・成約後は遅滞なくレインズへその旨を通知しなければならない。

参考にしてみてください。