廃業が義務ってどういうこと!?宅建業の廃業届が必要な場合と届出者

宅建業者が宅建業を廃業する場合、免許権者(免許の交付を受けている知事または大臣)に対して廃業の届出をし、免許証を返却しなければなりません。


廃業というと、自己都合や経済的事情によって主体的に行うものだと考えがちですが、実はそれだけではありません。というのは、宅建業法では一定の事象が起こった場合、必ず廃業届をしなければならないことになっているからです。

つまり、廃業が義務となるケースがあるということです。では、宅建業者が必ず廃業しなければならないケースとは一体どのようなケースでしょうか?

今回は、宅建業の廃業届について解説していきたいと思います。

廃業届が必要となる場合

次の事項に該当することとなった場合には、宅建業者は必ず廃業届をしなければなりません。

廃業届が必要な場合
  • 宅建業者が死亡したとき。
  • 法人が合併により消滅した場合。
  • 宅建業者について破産手続き開始の決定があった場合。
  • 法人が合併および破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合。
  • 宅建業を廃止した場合。

これらの事項は、「当然に免許の効力が失われる場合」「届出があったときにはじめて免許の効力が失われる場合」に分けられます。

当然に免許の効力が失われる場合
  • 宅建業者が死亡したとき。
  • 法人が合併により消滅した場合。
届出があったときにはじめて免許の効力が失われる場合
  • 宅建業者について破産手続き開始の決定があった場合。
  • 法人が合併および破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合。
  • 宅建業を廃止した場合。

届出者も決められている!?

宅建業法では、廃業届をする者についても定められています。

届出者
宅建業者が死亡したとき その相続人
法人が合併により消滅した場合 その法人を代表する役員であった者
宅建業者について破産手続き開始の決定があった場合 その破産管財人
法人が合併および破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合 その清算人
宅建業を廃止した場合 宅建業者であった個人・法人を代表する役員

大臣免許であっても届出窓口は都道府県の窓口であることに注意!

大臣免許業者であったとしても、廃業届は都道府県の窓口を経由して行うことになりますので注意が必要です。

例えば、愛知県に主たる営業所を設置する大臣免許業者が廃業届をする場合は、愛知県の窓口に届出書を提出することになります。

廃業届の期限

廃業届には期限も定められています。

届出者
宅建業者が死亡したとき その事実を知った日から30日以内
法人が合併により消滅した場合 その日から30日以内
宅建業者について破産手続き開始の決定があった場合
法人が合併および破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合
宅建業を廃止した場合

免許証は免許権者に返却しなければならない!

冒頭でも少し触れましたが、廃業届をする場合は同時に免許証を免許権者(免許の交付を受けた知事または大臣)に返却しなければなりません。

実務上は、廃業届に免許状を添付する形になっています。

廃業届を怠ったらどうなる?

前述の廃業届が必要なケースのうち、当然に免許の効力が失われる場合については、文字通り自然に免許の効力がなくなるため罰則は特に定められていません。

一方、届出があったときにはじめて免許の効力が失われる場合において廃業届を怠った場合には、免許証が取り消される恐れがあります。

届出があったときにはじめて免許の効力が失われる場合
  • 宅建業者について破産手続き開始の決定があった場合。
  • 法人が合併および破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合。
  • 宅建業を廃止した場合。

まとめ

いかがでしょうか?廃業届が必要な場合について理解していただけたでしょうか?

最後にもう一度確認しますと、廃業届が必要な場合は次の5つです。

1.宅建業者が死亡したとき。
2.法人が合併により消滅した場合。
3.宅建業者について破産手続き開始の決定があった場合。
4.法人が合併および破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合。
5.法人が合併および破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合。

このうち、3,4,5の場合に廃業届を怠ると免許取消となる可能性があります。

また実務では、廃業届をしたら営業保証金の取戻し手続きも行っていくことになりますので、お忘れのないようにしてください。

参考にしてみてください。