宅建業者なら必ず理解しておこう!宅建業法の「目的」とは?

このページにたどり着いたあなたならすでにご存じかもしれませんが、宅建業はいつでも自由にはじめられるものではありません。宅建業は免許制度になっており、免許を受けなければ営業できない仕組みになっています。

もしあなたが、「じゃあ免許さえ取っちゃえばこっちのもんでしょ。」とお考えだとしたらそれは大きな勘違いです。

なぜなら、宅建業免許を受けるということは、同時に都道府県または国土交通省の監督下に置かれることになり、一般企業には無いさまざまな義務を果たしていかなければならないことを意味するからです。

この根拠となっているのが宅建業法です。宅建業法には宅建業者が守らなければならないこと、やってはいけないことなどが定められています。

そもそも宅建業法は昭和27年に制定されたのですが、当時は免許制度ではなく登録制度でした。その後、昭和39年に免許制度に改正されました。これは当時、宅地建物の取引の増加、複雑化に対して業者に対する監督や規制が不十分であったため、取引当事者や関係者が多大な迷惑を被ったり紛争に巻き込まれるケースが増大していたからです。

どんな法律も、目的なく定められることはありません。必ず何らかの達成されるべき目的があって制定されるものです。(目的なく権利を制限されたら困りますからね。)

宅建業法も例外ではなく、第1条が「目的」となっていて、その目的が明記されています。

ずいぶん前置きが長くなってしまいましたが、今回は宅建業に興味がある方、すでに宅建業者の方に必ず理解しておいていいただきたい宅建業法の「目的」について解説していきたいと思います。

宅建業法第1条にその答えがある!

前述のとおり、宅建業法の「目的」は第1条に明記されています。まずはその条文を確認しましょう。

宅建業法1条 目的

この法律は、宅地建物取引業を営む者について免許制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行うことにより、その業務の適正な運営宅地及び建物の取引の公正とを確保するとともに、宅地建物取引業の健全な発達を促進し、もつて購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑化とを図ることを目的とする。

あなたは宅建業法の目的が読み取れたでしょうか?

3つの目的+1つの最終的な目的が宅建業法の存在意義!

第1条を読み解くと、最終的に目指す大きな目的が1つあって、その達成のために小さな3つの目的があると理解することができます。

宅建業法の3つの目的
  1. 宅建業を営む者の業務の適正な運営を図ること。
  2. 宅地・建物の取引の公正の確保。
  3. 宅建業の健全な発展を促進すること。

この3つの目的をもって、

これが宅建業法の最終的な目的!

購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑化とを図ること。

つまり、宅建や建物を購入または借りようとする者が被るおそれがある損害を防止し、その利益の保護と宅地および建物の流通の円滑化を図ることが宅建業法の最大の目的と言えます。

まとめ

宅地や建物の取引は一般的に高額となるため、問題や紛争が発生した場合に深刻な事態に陥るおそれがあります。また、取引当事者が必ずしも不動産取引に精通しているとは限らず、むしろお互いが素人というケースもたくさんあるでしょう。

かといって、もしも宅建業者のようなプロしか不動産の取引を許されていないとすると、不動産の円滑な流通を妨げてしまうおそれもあります。

そこで、宅建業者が取引の間に入ったり代理することで、一般の方でも安心して不動産の取引ができるようにし、役所がその宅建業者を監督指導することで健全な業務の運営がされるようにさまざまな規制をしているのが宅建業法であり、宅建業法が定める免許制度というわけです。

最後にもう一度宅建業法の目的をまとめると、

・宅建業を営む者の業務の適正な運営を図ること。
・宅地・建物の取引の公正の確保。
・宅建業の健全な発展を促進すること。

これをもって、

・購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑化とを図ること。

これが宅建業法の最終的な目的です。宅建業者の使命といってもいいでしょう。

ぜひ覚えておいてください。