宅建業の媒介契約|3つのタイプ+αについて行政書士が解説します!

前回は、代理と媒介の違いについて解説をしました。復習になりますが、このうち媒介とは、「他人間の法律行為の成立に尽力する行為」のことです。

この媒介に関する契約には、大きく分けて3つのタイプ(細かく分けると4タイプ)があります。

宅建業者が依頼人との間で媒介契約を締結する場合には、どのタイプの媒介契約を選択したのかを書面で明示する必要があります。そのため、宅建業者は媒介契約の特徴についてしっかり理解しておく必要があるといえます。

宅建業法34条の2(抜粋)

宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。

3号 当該宅地又は建物について、依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買又は交換の媒介又は代理を依頼することの許否及びこれを許す場合の他の宅地建物取引業者を明示する義務の存否に関する事項

そこで今回は、媒介契約の3つのタイプ+αについて詳しく解説していきたいと思います。

媒介契約の3つのタイプ

媒介契約のタイプは大きく分けて次の3タイプです。

媒介契約のタイプ
  1. 専任媒介契約
  2. 専任専属媒介契約
  3. 一般媒介契約(明示義務あり or 明示義務なし)

一般媒介契約には明示義務があるものとないものにさらに分かれます。これが+αということです。

ではそれぞれ具体的に解説していきます。

タイプ① 専任媒介契約

専任媒介契約とは、依頼人が他の業者に重ねて媒介や代理を依頼することを禁止するタイプの媒介契約です。

このとき、依頼人は依頼した業者以外の相手と売却または交換の契約を締結することができます。(ただし他の業者は×)

例えは、依頼人Aが宅建業者Bへ土地の売却についての専任媒介契約を締結をした場合、AはBだけではなく自ら探した購入希望者Cと売却または交換の契約を締結することができます。

タイプ② 専任専属媒介契約

専属専任媒介契約とは、依頼人が他の業者に重ねて媒介や代理を依頼することを禁止するタイプの媒介契約です。

ここまでは専任媒介契約と同じです。専属専任媒介契約は、依頼人は依頼した業者以外の相手と売却または交換の契約を禁止される点で異なっています。

例えば、依頼人Aが宅建業者Bへ土地の売却についての専属専任媒介契約を締結をした場合、AはBが媒介する相手のみ売却または交換の契約を締結することができ、Aが自ら探した者および他の業者との契約(売却または交換)は禁止されます。

タイプ③ 一般媒介契約

一般媒介契約とは、依頼人が他の業者に重ねて媒介や代理を依頼することを許すタイプの媒介契約です。

例えば、依頼人Aが宅建業者Bへ土地の売却についての一般媒介契約を締結をした場合、AはBだけでなく、業者Cや業者Dとも媒介や代理の契約を締結をすることができます。

さらに一般媒介契約は、重ねて契約をしている他の業者を明示する義務があるものと、明示する義務がないものに区別されます。

明示義務とは?

他に媒介や代理を依頼した業者を明示する義務を依頼者に課すことです。

例えば、依頼人Aが宅建業者Bへ土地の売却についての明示義務付きの一般媒介契約を締結をし、さらにAが重ねて業者Cと業者Dに媒介契約を締結した場合、AはBに対してCとDとも媒介契約を結んでいることを通知する義務があります。

賃貸に関する媒介契約は対象外であることに注意!

媒介契約の規制の対象となっているのは、売買または交換に関するものだけで、賃貸は対象となっていません。

この点は誤解のないようにしてください。

まとめ

<媒介契約のタイプ>
専任媒介契約
依頼人が他の業者に重ねて媒介や代理を依頼することを禁止するタイプ(依頼人が探した相手との売買または交換の契約はOK)

専属専任媒介契約
依頼人が他の業者に重ねて媒介や代理を依頼することを禁止するタイプ(依頼人が探した相手との売却と交換または契約もできない)

一般媒介契約
依頼人が他の業者に重ねて媒介や代理を依頼することを許すタイプ
明示義務あり:依頼人は他に媒介や代理を依頼した業者を明示する義務がある
明示義務なし:依頼人は他に媒介や代理を依頼した業者を明示する義務がない

賃貸の媒介契約は対象となっていないことにご注意ください。

次の記事では、それぞれの媒介契約のメリットとデメリットにいて考察していきたいと思います。