宅地建物取引士の登録をするために必要な実務経験とは?

宅地建物取引士になるためには、試験に合格したのち都道府県知事の登録を受け、さらに資格証を交付してもらう必要があります。

このうち、登録には欠格要件が設けられえており、それに該当すると登録を受けることができない仕組みになっているですが、この欠格要件をクリアしたとしても、もう一つクリアしなければならないハードルがあります。

それが、「宅地建物に関する実務経験」です。

今回は、宅建士の登録をするために必要な実務経験について解説していきたいと思います。

宅建士の登録には2年以上の実務経験が必要!

宅建士の登録に必要な実務経験は宅建業法で定めれらたもので、その期間は2年以上となっています。

宅建業法18条1項(抜粋)

試験に合格した者で、宅地若しくは建物の取引に関し国土交通省令で定める期間以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものは、国土交通省令の定めるところにより、当該試験を行った都道府県知事の登録を受けることができる。

国土交通省令で定める期間

国土交通省令である宅建業法施行令に定められた期間は前述のとおり2年です。

宅建業法施行規則13条の15

法第18条第1項の国土交通省令で定める期間は、2年とする。

宅地建物の取引に関する実務経験とは?

宅建士の登録に必要な実務経験とは、宅建業者の下で行われた次のような経験のことです。

実務経験の具体例
  • 顧客との交渉
  • 物件調査
  • 契約書等の作成
  • 代金や手数料の授受
  • 帳簿の記載
  • その他宅地建物の取引に伴う一連の業務

不動産業者の営業職であれば問題なく実務経験としてカウントできると思います。

実務経験とはみなされないもの

一方、次のような経験は宅建業者の下で行われたとしても実務経験とはみなされません。

実務経験とはならない具体例
  • 受付
  • 秘書
  • 総務
  • 人事
  • 経理、財務 など

一般管理部門など顧客と直接接触がない部門に所蔵した期間や、単に補助的な業務に従事した期間については算入できないことになっています。

例えば、営業事務のような営業職の補助的な立場で帳簿の記載を行っていたとしても、実務経験としてみなされないことになります。

なお、カウントできる実務経験は、試験合格をする前の期間も含まれていますが、登録する前10年以内の経験とされているので注意が必要です。

実務経験がない場合はどうなる!?すぐには宅建士にはなれないのか?

実務経験がない者が宅建士に合格したとしても、2年以上の実務経験がない者はまずは就職して経験を積まなければならないのでしょうか?

ご安心ください。たとえ実務経験が0であっても、「登録実務講習」を受講することで実務経験を有する者と同等以上であるとみなされ、試験合格後すぐにでも宅建士の登録を受けることができるようになります。

宅建業法施行規則13条の16

法第18条第1項の規定により国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めた者は、次のいずれかに該当する者とする。

1号(要約) 宅地又は建物の取引に関する実務についての講習であって、国土交通大臣の登録を受けたもの(登録実務講習)を修了した者

なお、登録実務講習は公益財団法人不動産流通推進センターのほか、国土交通大臣の登録を受けた登録実務講習実施機関が行っており、具体的には有名な資格学校や一般財団法人などの民間企業や団体が講習を実施しています。

まとめ

いかがでしょうか?

・宅建士の登録には2年以上の実務経験が必要。
・実務経験は登録前10年以内の期間。
・実務経験には事務職のような補助的な業務は含まれない。
・「登録実務講習」を受けることで実務経験がなくても登録が可能になる。

覚えておいてください。

試験に合格するだけでも大変なんですが、合格してからもハードルがあるのが宅建士の資格です。

登録実務講習を受けたい方は、インターネットで検索してみるとすぐに概要を見つけることができるはずです。通常2日間の講習となっていて、費用はそれぞれ異なっているようですので、あなたの都合の良い場所・日時、費用の講習を探してみてください。