宅建業の免許制度は建設業の許可とは違い、免許を受けないと営業すらできない仕組みをとっています。
したがって宅建業者は、たとえ個人事業であっても、手数料がいくら少なくても免許を受けることが必須になるわけです。ですから、宅建業者がこの「免許証」についてしっかり理解しておくことはとても有意義なことかと思います。
そこで今回は、宅建業の「免許証」について宅建業法を読み解きながら理解を深めていきたいと思います。
免許証の交付
免許申請者は、免許権者(都道府県知事または国土交通大臣)から免許の交付を受けることによって正規の宅建業者となることができます。
国土交通大臣又は都道府県知事は、免許をしたときは、免許証を交付しなければならない。
また、宅建業者が事業を開始するためには、次のいずれかを満たす必要があります。
- 営業保証金を供託した旨を免許権者に届け出ること。
- 弁済業務保証分担金を保証協会に納付し、保証協会が保証金を供託した旨を免許権者に届け出ること。
いわゆる、宅建業者が新規で免許を受ける際の、法務局への供託か保証協会に入会するかという話です。
免許の交付と保証金の供託の兼ね合いから、実務上の流れでは、新規申請および更新申請のいずれの場合であっても、保証金の供託した旨の届出があったとき、または、保証協会から保証金の供託があったことの届出がされた後に免許証の交付が行われることになっています。
免許証の書換え
宅建業者は、免許証の記載事項に変更を生じたときは、その免許証を返却して免許証の書換えを申請しなければなりません。
宅地建物取引業者は、免許証の記載事項に変更を生じたときは、その免許証を添え、変更の届出と併せて、その免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に免許証の書換え交付を申請しなければならない。
免許証の書換えが必要となる記載事項とは?
では、具体的にどのような記載事項が変更された場合に免許証の書換え交付申請が必要になるのでしょうか?
答えは次の3つの場合です。
- 称号・名称
- 代表者
- 主たる事務所の所在地
実務上は変更届の一部になっている!?
ここでは詳しい説明は省きますが、宅建業者はその事業活動や組織に変更があった場合には、変更の届出をする必要があります。
免許証の書換えが必要となる変更事項についても、当然に変更の届出を伴うことになります。よって実務上では、上記3つの変更に関する届出においては、免許証の書換え申請書が変更届の必要書類にあらかじめ含まれる形になっています。
免許証の再交付
宅建業者は、免許証を亡失(紛失すること)、滅失(火災などで失うこと)、汚損(汚して痛めること)、破損したときには、免許権者に対して免許証の再交付を申請しなければなりません。
宅地建物取引業者は、免許証を亡失し、滅失し、汚損し、又は破損したときは、遅滞なく、その免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に免許証の再交付を申請しなければならない。
なお、汚損または破損の場合は、免許証の再交付の申請の際に汚損、破損した免許証を提出しなければなりません。
免許証の返納
宅建業者は次のいずれかに回答する場合には、免許証を返納しなければなりません。
- 免許換えにより、従前の免許がその効力を失ったとき。
- 免許を取り消されたとき。
- 亡失した免許証を発見したとき。
まとめ
いかがでしょうか?宅建業法に定められている「免許証」に関する事項をご理解いただけたでしょうか?
今回の内容は、あまり事業活動には関係のないことかもしれませんが、具体的な手続きが発生する書換え・再交付・返納についてはしっかり覚えておいてください。