
宅建業をはじめたい方や不動産業者に就職したいという方にとって、宅地建物取引士(宅建士)の資格は当たり前のような存在だと思われているのではないでしょうか。
では、あなたはこの宅建士制度がどのような経緯でスタートしたのかをご存じでしょうか?おそらく、すでに宅建士として活躍されている方の中でも知ってる方はほとんどいないと思います。
そこで今回は、宅建士制度がどのような経緯で始まったのかを解説していきたいと思います。
まずはおさらい!宅建業法の制定経緯
宅建士の話をする前に、まずは宅建士制度の基盤となる宅建業法の制定経緯について簡単におさらいしましょう。
戦前は一部の府県で取り締まりがされていただけ!?
戦前は、宅地建物の取引に対する法的な規制としては、府県令による取締が一部の府県で行われていたにすぎませんでした。
例えば東京(旧東京府)では、警視庁令の「紹介営業取締規則」というものがあり、不動産売買や賃貸借の紹介だけではなく、風速営業の従業者や里子、結婚者などの紹介を行う者は所轄警察署長の許可が必要とされていました。
戦後に悪徳業者が乱立!?
戦後になると、前述の「紹介営業取締規則」が廃止されたため、不動産取引業が自由に開業できるようになりました。同時に、戦後ということもあって全国で深刻な住宅不足が起こり、復興が進むにつれて住宅に対する需要が急激に増大しました。
このような背景をもとに、不動産取引を業として行うも者が急増し、中には不動産取引に関する知識と経験が十分ではない「悪徳業者」が多数現れたため、被害が多発することになってしまいました。
昭和27年ついに宅建業法制定!
悪徳業者による被害が拡大したことによって、不動産取引業界から業規制を行って悪徳業者を排除して正常な不動産業が発達することを要望する声が高まり、昭和27年6月に「宅地建物取引業法」が公布され、同年8月1日から施行されました。
あなたは宅地建物取引業(宅建業)がどのような事業のことをいうのかきちんと説明できるでしょうか? ひょっとしたらあなたは、不動産を扱う仕事はすべて宅建業だと考えていないでしょうか?だとしたら、ちょっと誤解をされているのかも …
ここから本題!宅建士のはじまり~現在に至るまで
昭和27年に宅建業法がスタートして以降、昭和29年に改正が行われ、昭和32年の改正において宅建取引の公正という法の目的を現場で実践するキーパーソンとして「宅地建物取引員」が規定されました。
これが宅建士制度のはじまりということになります。
宅地建物取引主任者への改称
昭和39年の法改正によって、それまで登録制だったものが免許制へと変更になりました。同時に、宅地建物取引員から「宅地建物取引主任者」に名称が変更されました。
この名称は、平成26年まで続くことになりますので、現在においても比較的馴染みのある名称ではないかと思います。
重要事項説明制度の創設
昭和42年には、宅建士の最も重要な業務といっても過言ではない重要事項説明制度が創設されました。
そして宅地建物取引士へ・・・
重要事項説明制度が始まった当時は、その項目が26項目に過ぎなかったものが、平成27年には328項目にまで増加していました。それだけ取引主任者に求められるものが高度化、複雑化してきていたということです。
これに対応するため、平成26年の法改正において、不動産取引の専門家としての役割と責任を明確化するとともに、それにふさわしい名称にするため「宅地建物取引士」に改称となりました。
そして現在に至るというわけです。
まとめ
いかがでしょうか?宅建士制度がどのような経緯ではじまり、現在に至っているのかを理解していただけたでしょうか?
ご覧のとおり、時代が移り変わるとともに宅建士の存在意義や責任が次第に大きくなってきていることがお分かりいただけたと思います。
このサイトでは、これからさらに宅建士が果たすべき義務や禁止事項についても深堀りしていくつもりです。
ぜひ参考にしてみてください。