専任の宅地建物取引士|宅建士を設置すべき場所はどこ?

前回このサイトでは、専任の宅地建物取引士(宅建士)の専任性について解説をしました。

不動産に関する相談や契約などの宅建業に関する業務は、宅建業者の事務所だけで完結するものではありません。

ときには現地で物件を確認しながらとか、複数の宅建業者が出店するイベント会場など事務所以外の場所においても業務をすることがあると思います。

このように事務所以外の場所で業務を行う場合、専任の宅建士の設置にはどのようにすればよいのでしょうか?

そこで今回は、専任を宅建士を設置すべき場所についてご紹介していきたいと思います。

専任の宅建士を設置するのは事務所だけではない!?

まず、専任の宅建士を設置しなければならないのは事務所だけに限りません。

宅建業法31条の3

宅地建物取引業者は、その事務所その他国土交通省令で定める場所ごとに、事務所等の規模、業務内容等を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならない。

事務所国土交通省令が定める場所に専任を宅建士を設置しなければならないということが読み取れると思います。

事務所

ここでいう事務所とは次のとおりです。

事務所に該当するもの
  • 本店(主たる事務所)
  • 支店(従たる事務所)
  • 継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、宅建業に係る契約を締結する権限を有する使用人を置くもの

国土交通省令で定める場所

国土交通省令が定める場所とは次のような場所になります。

国土交通省令が定める場所に該当するもの
  • 継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で事務所以外のもの
  • 10区画以上または10戸以上の一団の宅地建物の分譲を行う際の案内所
  • 10区画以上または10戸以上の一団の宅地建物の分譲の代理または媒介を行う際の案内所
  • 業務に関し展示会その他これに類する催しを実施する場所

これらの場所であって、さらに宅地建物について次のような業務を行う場所であることが条件となります。

国土交通省令が定める場所に該当するもの
  • 売買 or 交換の契約の締結・予約・契約の申込み
  • 売買 or 交換 or 賃借の媒介の契約の締結・予約・契約の申込み
  • 売買 or 交換 or 賃借の代理の契約の締結・予約・契約の申込み

なお、国土交通省令で定める場所において契約を締結する場合、契約を締結する権限の委任を受けた者か契約締結権限を持った者が派遣されている必要があります。

「契約の申込み」について

「契約の申込み」とは、契約を締結する意思を表示することをいい、物件の購入のための抽選の申込みなど金銭の授受を伴わないものも含まれるとされています。

業務に関し展示会その他これに類する催しを実施する場所

業務に関し展示会その他これに類する催しを実施する場所とは、例えば、宅地建物の取引や媒介契約の申込みを行う不動産フェア、買い替え・住み替えの相談会、一時に多数の顧客が対象となる場合に設けられる抽選会、売買契約の事務処理等を行う場所その他催しとして期間を限って開催されるものをいいます。

複数の宅建業者が設置する案内所はどのように専任の宅建士をは設置するのか?

同一の物件について、複数の宅建業者が同一の場所において業務を行う場合は、いずれかの宅建業者が専任の宅建士を1人以上置けば足りるとされています。

なお、不動産フェアなどで複数の宅建業者が異なる物件を取り扱う場合には、各宅建業者ごとに1人以上の専任の宅建士を置く必要がありますのでご注意ください。

臨時に開設する案内所の場合は?

例えば、週末に宅建業者が出張して申し込みの受付や契約の締結を行う別荘の現地案内所など、週末のみに営業を行うような場所についても専任の宅建士の設置が必要となります。

まとめ

いかがでしょうか?

シンプルにまとめると、専任の宅建士を設置すべき場所とは、

・本店(主たる事務所)
・支店(従たる事務所)
・継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、宅建業に係る契約を締結する権限を有する使用人を置くもの
・継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で事務所以外のもの
・10区画以上または10戸以上の一団の宅地建物の分譲を行う際の案内所
・10区画以上または10戸以上の一団の宅地建物の分譲の代理または媒介を行う際の案内所
・業務に関し展示会その他これに類する催しを実施する場所

このうち事務所に該当しない場所については、

・売買 or 交換の契約の締結・予約・契約の申込み
・売買 or 交換 or 賃借の媒介の契約の締結・予約・契約の申込み
・売買 or 交換 or 賃借の代理の契約の締結・予約・契約の申込み

これらの業務を行う場所であることが条件になります。

例えば、内見だけであれば専任の宅建士の設置は不要ですし、もし即日で契約することになったとしても事務所に戻って契約事務をすれば専任の宅建士が在籍しているはずなので問題ないことになります。

宅建業法をしっかり理解することで適切な運用が可能となりますので、ぜひ覚えておいてください。