宅建業の欠格事由|まずは確認!対象となる者はだれ?

宅建業免許は申請すれば必ず受けられるものではありません。宅建業法には欠格事由がいくつか定められていて、これに1つでも該当すると免許を受けることができません。欠格事由とは、免許を受けられない要件のことです。

宅建業法5条 免許の基準

国土交通大臣又は都道府県知事は、第3条第1項の免許を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合又は免許申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けている場合においては、免許をしてはならない。

反対に、この欠格事由に該当しなければ免許を受けられる可能性がぐっと高くなります。では、一体どのような欠格事由が定められているのでしょうか?

かなり情報量が多くなりそうなので、今回はまず、宅建業法が定める欠格事由は誰を対象としているのかについて解説していきます。

欠格事由の対象

欠格事由は宅建業に携わるすべての者を対象としているわけではなく、「役員」および「政令で定める使用人」に該当する者が対象となっています。

つまり、役員や支店長といった重役の者が該当すると免許が受けられないということです。逆に言うと、宅建業に携わる一般従業員は該当しても問題はありません。

役員の範囲に注意!

ここでいう「役員」は、次のとおり通常の解釈よりも広い意味で使われていますので注意が必要です。

欠格事由の対象となる「役員」の範囲

業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問、その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。

具体的には次のような役職が含まれます。

欠格事由の対象となる「役員」の例

取締役、監査役、会計参与、執行役、業務執行社員、理事、監事、会長、顧問、相談役 など

「同等以上の支配力」の判断基準

取締役などの役員と同等の支配力があるかとどうかの判断基準は、個々のケースに応じて行う必要があるとされていますが、名刺や案内状等に会長や相談役などの役職名を使用しているかどうかが一つの判断材料になるとされています。

なぜ同等以上の支配力がある者も含まれるのか?

前述のとおり、宅建業の欠格事由の対象には、一般的な役員に就任していなくても同等の支配力がある者は含まれることになります。これはなぜでしょうか?

これは、相談役や顧問、大株主といった俗に黒幕と言われるような実質的支配者を審査の対象とすることで、これらの者が目立たないところで法律違反をすることをあらかじめ防止するためです。

個人事業主の場合はどうなる?

役員が存在しない個人事業主の場合は、本人および政令で定める使用人が欠格事由の対象となります。

まとめ

いかがでしょうか?今回はまず、欠格事由の対象となる者について確認しました。

欠格事由の対象となる「役員」は、取締役や監査役といった一般的な役員に加えて、会長や相談役など実質的な支配力を有している者も含む広い意味で使われていることに注意してください。

今回は一旦ここで区切って、具体的な欠格事由の内容については次の記事で解説していこうと思います。