事務所が増減したら要注意!宅建業の「免許換え」とは?

以前このサイトでは、宅建業の知事免許と大臣免許の違いについて解説しました。


知事免許かそれとも大臣免許かという区別は、新規で免許を受ける際の事務所の数と所在地で自動的に決まるものです。

しかし、宅建業を営むなかで事業拡大のために事務所を増設したり、逆に廃止することも十分にあり得るかと思います。

この事務所の増減によって、新規で免許を受けた頃とは異なる事業形態になった結果、知事免許または大臣免許の要件を満たさなくなってしまうことがあります。

このような場合に、最新の事業形態が法令に合致するように免許の変更する手続きを「免許換え」と言います。

今回は、宅建業の「免許換え」について解説していきたいと思います。

免許換えが必要となるケース

免許換えが必要となる場合は次の3つのケースです。

免許換えが必要となる場合
  1. 大臣免許を受けた者が、1の都道府県の区域内の事務所を除き、他の都道府県内の事務所を廃止した場合。(大臣免許→知事免許)
  2. 知事免許を受けた者が、その都道府県の区域内におけるすべての事務所を廃止して他の1つの都道府県の区域内に事務所を設置する場合。(知事免許→他の知事免許)
  3. 1の都道府県の区域内にのみ事務所を設置していた者が、他の都道府県内にも事務所を設けた結果、2以上の都道府県の区域内に事務所を有することになった場合。(知事免許→大臣免許)

免許換えは新規申請そのもの!?

免許換えの手続きは新規免許申請とまったく同様であり、事務所の審査もあらためて行われることになります。

ただし、営業保証金の供託や保証協会への入会は済んでいるはずですから、事務的な負担は少し軽減されると思います。

従前の免許はどうなる?

例えば、知事免許を受けていた業者が店舗を他県に増設したことにより、大臣免許へ免許換えした場合、従前の知事免許はどうなってしまうのでしょうか?

この場合、免許換えによって新規免許を受けたのと同じ取り扱いになるため、従前の知事免許は失効することになります。

宅建業法7条1項 免許換えの場合における従前の免許の効力(抜粋)

宅地建物取引業者が免許を受けた後引き続き宅地建物取引業を営もうとする場合において国土交通大臣又は都道府県知事の免許を受けたときは、その者に係る従前の国土交通大臣又は都道府県知事の免許は、その効力を失う。

免許証の返却をお忘れなく!

免許換えによって新たな免許を受け、従前の免許が失効することに伴い、従前に交付されていた免許証を免許権者に返却しなければなりませんので、お忘れのないようにしてください。

免許換えを怠ったらどうなる?罰則は?

免許換えが必要であるのにも関わらず、それを怠っている事実が判明した場合、免許を取り消される可能性がありますので特にご注意ください。

宅建業法66条 免許の取消し(要約)

国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該免許を取り消さなければならない。
5号 第7条第1項各号のいずれかに該当する場合(免許換えが必要な場合)において免許を受けていないことが判明したとき。

語尾が「取り消すことができる。」ではなく、「取り消さなければならない。」という義務を表す強い表現になっているため、決して侮るべきではありません。

まとめ

いかがでしょうか?免許換えが必要になる場合についてご理解いただけたでしょうか?

免許換えが必要な場合の例を挙げてみると、

  • 愛知県と岐阜県に事務所を設置して大臣免許を受けている宅建業者が岐阜店のみ閉鎖する場合。(大臣免許→愛知県知事免許)
  • 愛知県知事免許を受けている宅建業者が愛知県の事務所を閉鎖して岐阜県に事務所を移転する場合。(愛知県知事免許→岐阜県知事免許)
  • 愛知県知事免許を受けている宅建業者が新たに岐阜県に事務所を設置する場合。(愛知県知事免許→大臣免許)

このような場合です。

なお、免許換えを怠ると免許取消となるおそれがありますので十分に注意してください。