宅地建物取引業ってどんな仕事なの?宅建業法から読み解いて理解しよう!

あなたは宅地建物取引業(宅建業)がどのような事業のことをいうのかきちんと説明できるでしょうか?

ひょっとしたらあなたは、不動産を扱う仕事はすべて宅建業だと考えていないでしょうか?だとしたら、ちょっと誤解をされているのかもしれません。

実は、宅建業は不動産を扱う仕事のほんの一部でしかありません。では具体的にどのような事業が宅建業に該当するのでしょうか?

そこで今回は、宅地建物取引業とはどのような仕事のことを言うのか、宅建業法から読み解いていこうと思います。

ここからは宅地建物取引業を「宅建業」と表現していきます。

宅地建物取引業はどんな仕事なのか?その答えは宅建業法にある!

宅建業の定義は、宅建業法にきちんと明記されています。条文を確認してみましょう。

宅建業法2条2項 用語の定義(抜粋)

宅地建物取引業 宅地若しくは建物の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うものをいう。

つまり宅建業とは、次の4つの取引行為業として行うものと読み解くことができます。

宅建業に該当する4つの取引行為
  • 宅地・建物の売買
  • 宅地・建物の交換
  • 宅地・建物の売買、交換または賃借(使用貸借を含む)の代理
  • 宅地・建物の売買、交換または貸借(使用貸借を含む)の媒介

不動産業と宅建業の関係

○ 宅建業に該当するもの × 宅建業ではないもの
・土地・建物売買、代理、仲介業 ・不動産賃貸業
(貸事務所業、貸家業、サブリース業、駐車場業)
・不動産管理業
(マンション管理業、賃貸住宅管理業、ビル管理業、駐車場管理業)
・不動産コンサルタント など

※宅建業の建物には「建物の一部」(マンション、アパート、住居などの一室)も含まれます。
※マンション管理業にはマンション管理適正化法の規制があります。

宅建業の賃借には使用貸借が含まれる!?

宅地・建物の賃借の代理、媒介が宅建業に該当することはすでにお分かりいただけていると思いますが、この賃借には使用貸借が含まれているとされています。

使用貸借

賃料を支払わずに物件を借りて使用収益(居住したり事業に利用すること)を行い、その後返還すること。イメージとしては、友人間のゲームソフトの貸し借りみたいなもの。

「業として行う」かどうかが超重要!その判断基準とは?

宅建業は、前述のような4つの取引行為をあくまで業として行うと宅建業に該当することになり、宅建業法の適用を受けることになるのですが、業として行っているのどうかの判断はどのようにするのでしょうか?

この点については、社会通念上、事業との遂行とみることができる程度に行っているかどうかで判断するものとされています。

具体的には、次の5つのポイント参考に諸要件を勘案して総合的に判断することになります。

「業として行う」の判断基準
  1. 取引の対象者
  2. 取引の目的
  3. 取引対象物件の取得経緯
  4. 取引の態様
  5. 取引の反復継続性

それぞれ確認していきます。

1.取引の対象者

広く一般に者を対象に取引を行おうとするものは事業性が高く、取引の当事者に特定の関係が認められうものは事業性が低いとされています。

特定の関係

例えば親族間、隣接する土地所有者などの代替が容易ではないもの。

2.取引の目的

利益を目的とするものは事業性が高く、特定の資金需要の充足を目的とするものは事業性が低いとされています。

特定の資金需要

例えば、相続税の納税、住み替えに伴う既存住宅の処分等利益を得るために行うもではないもの。

3.取引対象物件の取得経緯

転売するために取得した物件は事業性が高く、相続又は自ら使用するために取得した物件の取引は事業性が低いとされています。

自ら使用するために取得した物件

個人の居住用の住宅、事業者の事業所、工場、社宅等の宅地建物。

4.取引の態様

自ら購入者を募り一般消費者に直接販売しようとするものは事業性が高く、宅建業者に代理又は媒介を依頼して販売しようとするものは事業性が低いとされています。

5.取引の反復継続性

反復継続的に取引を行おうとするものは事業性が高く、1回限りの取引として行おうとするものは事業性が低いとされています。

反復継続性について

反復継続性は、現在の状況のみならず、過去の行為ならびに将来の行為の予定およびその蓋然性も含めて判断するものとされています。

また、たとえ1回の販売行為として行われるものであっても、区画割りして行う宅地の販売等複数の者に対して行われるものは反復継続的な取引に該当するとされています。

まとめ

いかがでしょうか?宅建業がどのような仕事なのか理解を深めていただけたでしょうか?

最後にもう一度確認しておきますと、宅建業に該当する4つの取引行為とは、

・宅地・建物の売買
・宅地・建物の交換
・宅地・建物の売買、交換または賃借(使用貸借を含む)の代理
・宅地・建物の売買、交換または貸借(使用貸借を含む)の媒介

です。これらを業として行うと宅建業に該当することになります。

業として行っているかどうかの判断は、次の5つの事項を参考とし総合的に判断されます。

・取引の対象者
・取引の目的
・取引対象物件の取得経緯
・取引の態様
・取引の反復継続性

ぜひ覚えておいてください。