
宅地建物の売買等の媒介契約においては、契約内容のうち一定の事項を記載した書面を依頼人に交付することが宅建業法で定められています。
この一定時効を記載した書面として国土交通省が定めたものを標準媒介契約約款といい、通常の取引においいてはこの標準媒介契約約款を使用することが指導されています。
そこで今回は、標準媒介契約約款がどのようにして定められるに至ったのか、またその使用方法について解説していきたいと思います。
なお、今回は法律的な内容ではなく豆知識的な記事となりますので、実務ではあまり参考にならないかもしれませんが参考程度に読んでみてください。
代理が民法に定められているのに対し、媒介は民法に定められておらず、宅建業法においてその規制が行われています。 媒介は宅建業界において最も多く採用されている取引形態であるため、もしあなたが宅建業者であるならば、必ず理解して …
標準媒介契約約款の概要
昭和54年に国会において、媒介契約に関して標準約款を作成して普及すべきであるという議論がはじまりました。
これは、実務上の媒介契約が複雑で多岐にわたっているため、法的規制から一歩進めて契約自身を類型化し、それぞれの契約類型ごとに当事者間の権利義務を明確化する必要があり、さらに媒介行為は大量に反復して行われているため、円滑な取引の確保と一般の依頼人の保護の観点からも媒介契約については、契約約款を作成してその普及を図ることが妥当であると考えられたからです。
その後、国会の委員会や諮問機関での審議を経て、昭和57年に標準媒介契約約款が当時の建設省告示(第1110号)によって定められ、通常の取引の媒介契約においてはこれを用いるように宅建業者に対して指導が行われています。
昭和63年の宅建業法改正により、専属専任媒介契約に関する規定が追加されたことに伴って、標準専属専任媒介契約約款が新たに策定されました。
また、平成7年の宅建業法改正により、指定流通機構(レインズ)への登録義務が拡大されたことに伴い、平成9年に標準媒介契約約款について改正が行われました。
標準媒介契約約款の使い方
標準媒介契約約款は、契約形式として専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3タイプがあり、それぞれについて契約書と約款の2つの部分によって構成されています。
このうち、契約書部分には個々の契約において個別に行うべき事項と契約の両当事者の義務で特に重要な内容が表示されており、約款部分には、それぞれのタイプにおいて共通する基本的な合意事項が表示されています。
実務上は、契約書には個別具体的な取り決め等を記載し、それに約款を添付してこの媒介契約を締結するという形になります。
まとめ
標準媒介契約約款は、契約の権利義務の明確化と円滑な取引および依頼人の保護を確保するために、国土交通用によって定めた標準的な約款のことです。
標準媒介契約約款には、標準専属専任媒介契約約款・標準専任媒介契約約款・一般媒介契約約款の3種類があり、通常の媒介契約において使用されうよう指導が行われています。
今後はさらに約款の具体的な内容についても解説していこうと思いますので、楽しみにしていてください。